旅ができていいですね、とは言うけれど

僕は年間通して、国内外を演奏してまわっている。

今月は8回フライトした。


「仕事で旅ができていいですね」

とみんなは気楽に言う。


でも、交通費が出る公演はほんの一部。

しかも報酬が必ず約束されているとは限らない。

海外公演の場合、公演国の物価が日本の3分の1なら、出演料も3分の1だ。


一般企業の出張で、

交通費も出ず、給与も確約されず、給与が出たとしても現地の物価で支払われたら、

相当なブラック企業だ。


たとえ、出演料と渡航費がトントンになったとしても、収益としてはゼロな訳で、

そんなので家族が養える訳がない。


もちろん物価の高い国で演奏したり、

運よく、交通費が支給されたりすれば、

大きな収益にはなる。


交通費や出演料の交渉が上手国いったり、

国際交流基金なんかの助成を受けられたり、

あちらからの招聘事業だったりすれば、

景気良くまわれるだろう。


でもそんな幸運はいつもある訳じゃない。


もはや修行のようなものなのだ。

そう割り切って、生き抜くしかない。

混沌にこそ未来が

音楽で食うということ。社会。子育て。ピアニストの日々。

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