プロにとっての持続可能な演奏活動とは

僕らは「演奏」に対し、「対価」としてチケット代などのお金を支払ってもらい、そのお金で生活をしている。


それは、パン屋さんがパンに対価を払ってもらって、お店を運営しているのと変わらない。


パン1個の値段には、原価に利益がプラスされている。

僕らの演奏も、開催に関わる費用に利益がプラスされている。


例えば2000円のチケットならばそれがそっくり僕らの財布に入ることは稀で、

まず会場使用料で半分の1000円くらい差し引かれる。

さらに、フライヤー代、交通宿泊費などの経費を差し引くと…

お客さんの数が少なければ、手元に何も残らない。


お客さんは「この2000円がすべてこの感動に対する対価で、支払うことが音楽家の収益になり、応援になる」と思ってくださっているだろう。


しかし実際には必ずしもそうはならず、

お店の利益の方が多かったり、

僕らの手元には何も残ってないこともあるのだ。


だから、正直に言うが、

チケット代の半分以上を要求するお店や、

会場費をとるのに集客に協力してくれない店や、

心地よい空間でもなく、メンテナンスされてないピアノのなのに、会場費が高い店では、

演奏したくないのだ。


また、主催者が半分持って行ってしまうこともある。

そのくせ、お客さんはほんの数人しか集めきれず、

「○○さんは人数が少なくても演奏してくれるから嬉しい」

などと言ってくる。


そりゃ、人数が多くても少なくても、

同じように全身全霊で演奏します。


でもプロである以上、

それでは持続可能じゃないでしょう。


「金の切れ目が縁の切れ目」

とはよく言ったもので、

そういう店や主催者とは縁が切れるし、

お客さんも感じとるのか、

そういうコンサートにはあまり来てくれないのです。


自然を破壊してお金を生み出す近代経済は、

自然が枯渇したら、もう絞り出すものはなく、

残るのは荒れた大地、生命の息絶えた海。

僕らも自然な生命体なのだから、

同じことが起こる。


まったく持続可能じゃないんだ。

混沌にこそ未来が

音楽で食うということ。社会。子育て。ピアニストの日々。

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